掲載紙:女性セブン
日付または号数:1986年1月30日号
主題:結婚おめでとう アグネス・チャン
副題:身代金9万9999円 エキゾチック挙式の珍しい話
本文: カラーグラビアでごらんのとおり、アグネス・チャン(本名・陳美齢(ちぇんめいりん)、30才)が、1月11日、元マネージャーの金子力(つとむ)さん(31才)と故郷の香港で結婚式を挙げた。”所変われば品変わる”で、大変エキゾチック式だったが、そのなかで、数字にまつわる珍しい話をあげると・・・
●結婚式の朝、9万9999円の身代金。
 香港では、挙式の朝、まず花婿が友だちを従えて、花嫁の家に。花嫁のほうにも、友だちや血縁の娘が集まっていて、家の扉は閉じてある。
 その前で、花嫁側と花婿側の交渉が始まる。別名ラッキーマネーという身代金(傍点3文字)は、高いほど花嫁の値打ちがあがるというわけだ。
 最初はとてつもない高額から始まるが、数字はかならず9の並びときまっている。9は”久”と同音で、”幾久しく”に通じるからだ。
 何度かやりとりしたうえで、やっと金額がきまった。9万9999円。-- これは、花嫁の友人たちへのおこづかいにになる。
●さらに4つの関門。
 身代金がきまったら、家の扉は開くが、花嫁の部屋のドアは開かない。まだ4つの関門があるのだ。
①歌をうたえ。
②カンフー(空手)をやれ。
③広東語で「アグネスを愛している」といえ。
 テレていては、結婚できない。花婿の金子さんは、覚悟をきめて、歌をうたい、カンフーの真似事をやり、アグネスの長姉、アイリーンさんの助けをかりて叫んだ。「我、金子力永遠愛陳美齢」
④花嫁が、花婿の呼びかけに答えて、やっと扉が開く。
●香港天主教会堂で挙式。
 そしてシルクサテンのドレスに、5メートルのチュールを引いた花嫁は、8年前に病死した父親に代わる長兄のポールさんとバーシーンロードを歩き、金子さんと永遠の愛を誓った。
●延々8時間の披露宴。
 披露宴は、海が見える九竜側の超高級ホテル、リージェント・ホテルで開かれたが、ティー・パーティー、カクテル・パーティー、本宴会と続き、人気俳優、ジャッキー・チェンも出席した。カクテル・パーティーでは獅子舞が始まったが、オスとメスがなにやらセクシーな動き。「今夜、がんばれよウ」のはげましをこめたセレモニーだ。
 披露宴の客は600人で、1卓12人の50卓が並んだが、1卓の料理は25万円。”食は広東にあり”の広東料理が12品、子豚の丸焼きを皮切りに次々と食卓を飾った。(ちなみに、香港の大学卒の初任給は9万円ほど)
●色打掛のお値段は2億円?
 蜀江錦(しょうこうにしき)の色打掛(写真A、東京ますいわ屋の”ギャラリー華”)は、15日、東京の帝国ホテルの披露宴のためのものだったので、香港では披露されなかった。
 そのため”あれは時価2億円、税金がかかるので、香港に持ってこなかったのだ”とスケールの大きなうわさがとんだ。
「いい話は結構ですが、それより大変なのは、チュールが踏まれてだめになったので、15日の東京の披露宴にまにあうように大急ぎでつくり直したんですよ」(”ますいわ屋”)
 熱烈でエネルギッシュな結婚式らしいエピソードだった。