掲載紙:毎日新聞
日付または号数:1985年9月13日
主題:テレホンインタビュー
副題:結婚式、香港では中国式に
本文:  歌手のアグネス・チャンが「両親の許しを得たら婚約」と発表。ママ、どうします。
 彭 端淑さん(58)
 =香港のマンションで
 ――アグネスが元マネジャーの金子力さん(31)と結婚するそうですが。
 彭 結婚の話は事前に連絡がなかった。香港の記者から知らされ、すぐ日本にいるアグネスに電話したところ、十月初めに香港に戻って詳しく話す、ということでした。
 ――日本人との結婚は反対ですか。
 彭 私自身、中国人だから、娘の結婚相手はやはり中国人の方が気心がよくわかってよいと思っていた。でも本人が好きと決めたのなら、日本人だろうと中国人だろうと、今は気にしていません。
 ――金子さんの印象は。
 彭 三年間、マネジャーをしてくれ、いい人だと思っていた。アグネスがいつか、「彼をどう思うか」と尋ねたことがあり、そのときは単なる友達と思い、結婚相手とは考えていなかった。カネコは中国語がニーハオぐらい。私も日本語がこんにちはぐらいで、話が通じないが、言葉の問題はゆっくり解決していくことに。
 ――では十月に正式決定?
 彭 アグネスが十月に帰ってきたら家族が集まり話し合う。私結婚したのは二十歳。結婚間もない1946年、夫とともに戦果を逃れて中国大陸から香港にやってきた。三男三女が生まれ、アグネスは末娘。夫は芸能界入りに反対し、私は弁護士にしたかったのだが。
 ――日本鬼(日本軍)との戦争体験を持つママが、娘の結婚相手が日本人となり、どんな気持ちですか。
 彭 過去は過去であり、私は日本人に対して偏見を持っていない。
 ――結婚は日本で、それとも香港で。
 彭 日本にも香港にも友達が多く、両方でやることになるでしょう。香港では伝統的な中国の結婚式でやりたい。

  (香港・網谷利一郎特派員)