掲載紙：日刊スポーツ
日付または号数：１９８５年１２月２６日
主題：アグネス入籍よかったネ
副題：「もう逃げられない、逃がさない！」
本文： 　アグネス、晴れて入籍結婚。元マネジャーの金子力（つとむ）さん（３１）と婚約中だったアグネス・チャン（３０＝本名・陳美齢さん）が２５日午後１時過ぎ、金子さんの実家のある神奈川県横浜市磯子区の磯子区役所に二人そろって婚姻届を提出した。届け出の前に天を拝んで指輪の交換をするなど儀式も済ませた二人。香港のしきたりにのっとって、来年１月１１日には現地の教会で挙式、１５日には東京・帝国ホテルで披露パーティーを行う。
　香港式のアグネスの”クリスマス挙式”は、簡単な儀式と婚姻届け出という実にシンプルなものだった。１７日、代理人によって結納が交わされて以来、占い師の言いつけ通り二人は一度も会わなかった。そして迎えた２５日。東京・乃木坂の自宅マンションでアグネスは午前２時３０分きっかりに、クシで髪を３回といてもらった。
「時間通りにしなきゃいけないので、あと１０秒ってカウントダウンしてとても緊張しました」というアグネス。日本人で最も信頼している知り合いの出版社の女性に髪をといてもらった。深夜の儀式はこれだけだったが、緊張と感激で胸いっぱいのアグネスは午前４時まで眠れなかったという。
　この間、金子さんは磯子区の実家ですごしたが、こちらも「アグネスが今どうしているかな」とやはり午前４時ごろまで眠れなかったというから、離れていても気持ちは一つ、のお似合いぶり。
　午前１０時にアグネス宅を訪れた金子さんとアグネスは９日ぶりに顔を合わせた。久しぶりだったため出てきた言葉は「懐かしいね」。
　この後、横浜プリンスホテルのゲストハウスで天に向かって三拝、結婚指輪の交換とすべて予定通り。やっとここまでこぎつけたアグネスの目にはキラリと涙が。見守ったのはアグネスの母・陳彭端淑さん（５８＝ツェン・バンドンソ）、金子さんの両親ら身内５人だけのごく内輪の”式”だった。
　午後１時５分、母親に用意してもらった純白のワンピースを着たアグネスは、総立ちの区役所職員に迎えられた。うつむきかげんにはにかむ表情は、初々しい花嫁そのもの。金子さんが用意してきた婚姻届の出す様子を、じっと寄り添って見つめた。アグネスが、１カ所だけサインして手続き終了。「結婚届受理証明書」を受け取って晴れて夫婦となった。
「おめでとう」「お幸せに」と声をかけられたアグネスの薬指にはダイヤとプラチナの指輪が光る。
「もう逃げられない、逃がさない」とアグネスは顔をほころばせた。「髪をといてくれた方が双子を産んだので私も双子が欲しい」と早くも母親願望も。
　２８日には香港に帰って来年１月１１日の教会挙式の準備。１５日には帝国ホテルでパーティーを行う。１月下旬にはハワイへハネムーンの予定と、ハッピーな８６年のスタートを切る。なお、新居は横浜市戸塚区の６０００万円の一戸建て。